「ぱぱっと」計算 03: パターとボールの衝突

ゴルフ

前回、私たちはアプリ「ぱぱっと」のゴルフスイングの振り幅計算について紹介しました。また、前々回に計算したパターヘッド速度と合わせることで、最下点のパターヘッド速度が分かれば振り幅を計算できるようになりました。

さて、3回目の記事では、ついにボールが登場します!今回は、パターヘッドとボールが衝突する瞬間の運動を計算し、ゴルフボールの初速を求めていきます。この計算には、運動量保存則が使われます。

式は以下の通りです。

$$m_{a}v_{a0}+m_{b}v_{b0}=m_{a}v_{a}+m_{b}v_{b}$$

各記号の意味は以下の通りです。

 \(m_a\): パターのおもさ
 \(m_b\): ボールのおもさ
 \(v_{a0}\): 衝突直前のパターヘッド速度
 \(v_{b0}\): 衝突直前のボール速度
 \(v_a\): 衝突直後のパターヘッド速度
 \(v_b\): 衝突直後のボール速度

ゴルフボールは止まっている状態から打つので、衝突前のボール速度\(v_{b0}\)は0になります。次に考慮すべきは、反発係数eです。この値は、パターとボールの衝突によって発生する反発力の大きさを表します。

反発係数eは、次の式で表されます。

$$e=-\frac{v_a-v_b}{v_{a0}-v_{b0}}=-\frac{v_a-v_b}{v_{a0}}$$

実際には0~1の間の値をとることが多いですが、今回は単純化のため、e=1と仮定します。この仮定に基づき、先ほどの式を以下のように変形することができます。

$$v_a=v_b-v_{a0}$$

ゴルフボールとパターヘッドがぶつかる瞬間の運動を計算するためには、前出の「運動量保存則」を使います。この式を使えば、ボールの初速度を求めることができます。

それでは実際に数値を代入してみましょう!ゴルフボールの重さはルールで決まっているため、\(m_b\) =45.93g です。一方、パターの重さ \(m_a\) はどうでしょうか?パターヘッドだけを考えると 350g 前後、パタークラブだと 500~600g、人間の体重を含めると例えば 50000g となります。とりあえず、最小値と最大値として \(m_a\) を 350g と 50000g と仮定して計算してみましょう。

ヘッドの速度が1m/sだった場合、ボールの初速 \(v_b\) は次の式で計算できます。

$$v_b=\frac{2m_{a}v_{a0}}{m_a+m_b}$$

$$m_a=350g のとき、v_b=\frac{2*350*1}{350+45.93}=1.77$$

$$m_a=50000g のとき、v_b=\frac{2*50000*1}{50000+45.93}=1.998$$

ここで分かることは、どれだけパターの重さを大きくしても、ボールの初速はヘッドスピードに対して2倍以上にはならないということです。しかし、私が実際にパットしてみると、計算結果よりも初速が高くなることがあります。これは何故でしょうか?ヘッドの速さは恐らく大きく間違っていないと思うので、考慮すべきは力の伝わり方でしょうか?

もっと深掘りして考えていきたいと思います!

パットをする際には、ボールにコンタクトした後にヘッドが減速しないようにすることが重要だと思います。私自身は上級者からバックスイングとフォロースルーを同じにすることを教わり、その方法を使っています。ただ、フォロースルーの長さや短さ、リズムの違いなどは、人によって異なるものです。でも、フォロースルーに関してはボールの衝突に負けないようにしっかり出すことが大切です。意識しないと、ボールの軌道がへにょっとしたものになってしまうことがありますよね。

つまり、パンチショットしないで普通に打っている人でも、ある程度はパンチショットのような力を加えていると考えられます。しかし、このパンチショット的な力は式に反映されていないため、式を修正する必要があるかもしれません。

$$m_{a}v_{a0}+m_{b}v_{b0}+ ??? =m_{a}v_{a}+m_{b}v_{b}$$

例えば、 (???) の部分に式を追加するか、衝突の計算を力積に変更するか、より良い計算方法があるかもしれません。

ただ、ヘッド速度 va0 とボール初速 vb の比例関係は変わらないと思います。そのため、私たちのアプリ「ぱぱっと」では、この比率をパター伝達率として規定しました。初期値は”2″より大きい”3.5″としていますが、これはパターの特性やスイング方法によって変わることがあります。そのため、実際にパットをしながらご自身のパター伝達率を見つけて調整することが重要です。

以上で、衝突計算の話題は終了です。パットに関しては、細かい部分が多くありますが、それぞれの特性にあった方法で打つことが大切だと思います。

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