「ぱぱっと」計算 05: 斜面を転がるボールの運動(1次元)

ゴルフ

今回は、斜面を転がるボールの運動について計算してみます。前回の水平面から斜面に変わることで、計算式は複雑になりますが、物理現象は変わりません。斜面の力関係図はこのようになります。

斜面の角度をθ°として、ボールに掛かる力 mg は水平面の場合と同じです。ただし、角度が付いたことにより、力が斜面に並行な方向と斜面に垂直な方向に分離して考える必要があります。前者は斜面の底方向に定常的に働く力であり、後者は前回と同じく、摩擦力の元になります。

斜面の角度が変わることで、ボールの運動に影響を与えるので、運動方程式を立てましょう。

計算式はややこしくなりますが、気にせずに進めましょう。斜面が傾いているので、重力の影響は水平面よりも強くなります。この影響により、ボールは斜面を下る方向に動きます。また、斜面には傾きがあるため、ボールが加速することになります。このように、斜面を転がるボールの運動には、水平面とは異なる力学的な特徴が現れることが分かります。

$$F=ma$$

$$x=\frac{1}{2}at^2+v_0t$$

$$v=at+v_0$$

運動方程式を立てると、sin/cos計算が必要になってきますが、計算方法は前回と変わりません。斜面化した場合を想定しているので、パットで表現すると真っすぐの上りラインと真っすぐの下りラインが計算できます。

まずは上りラインから始めましょう!斜面角度を +2°、スティンプメーター s=9、摩擦係数 μ=0.1、ボール初速 v0=2m/s の場合、ボールが停止するまでの時間tは、

$$t=\frac{2}{0.1*9.8}=1.96秒$$

となり、1.96秒後に停止します。2式より、

$$x=\frac{1}{2}(-\mu{}g)t^2+v_0t=-0.5*0.1*9.8*1.96^2+2*1.96=2.0m$$

スティンプメーター値 s = 9 のグリーンにおいて、ボールの初速 2m/s で打ち出すと 2m 転がるよってことです。

ということで、水平面とはまた違った面白さがある斜面を転がるボールの運動を計算してみました。パットで表現すると真っすぐの上りラインと真っすぐの下りラインがあるので、自分のプレーでどう活かせるか考えてみるのも楽しいかもしれませんね!

ところで、物理学の問題でよく見かける「斜面の角度θ°」という表記。でもゴルフでは、もうひとつ「勾配」という表現もよく聞くようですね。私は角度の方が馴染みがあるので、この記事でも角度表記を使っていますが、どちらが一般的なのでしょうか。もし勾配表記の方が多くの人にとってわかりやすいというご意見があれば、今後はそちらにも対応したいと思います。

  角度    勾配  
1.8%
3.5%
5.2%
7.0%
8.7%

さて、話は変わって、斜面を転がるボールの運動についてですが、角度が3度を超えるとボールが止まらなくなることがあります。もちろん、グリーンの状態やスピードによって閾値は異なりますが、ほとんどのグリーンは傾斜が0°~3°の範囲内であり、勾配だと0%~5%程度となります。つまり、ゴルフ場でプレーする上では、勾配や角度の理解が必要不可欠ですね。

以上で、1次元の斜面を転がるボールの運動計算は終了です。

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