「ぱぱっと」計算 04: 平面を転がるボールの運動

ゴルフ

前回までのお話で、ボールが転がり始めるまでを確認しました。これからは、ボールがカップに入るか、あるいはOKパットに近づくかを見守るだけです。ここで一度、ボールが転がる様子について計算してみましょう。

今回考えるのは、グリーンに傾斜のない平らな場所でパットすることです。この場合、ボールには重力加速度 \(g\) と初速 \(v_0\) に由来する力、そしてグリーンの摩擦力がかかります。

図に表すと、以下のようになります。

新しい運動のパワー💪は、摩擦力 \(\mu{}mg\) です。この中で \(\mu\) は、摩擦係数と呼ばれ、ボールが転がる際に逆方向に働く力となります。パターヘッドから与えられた力は、摩擦力によって徐々に減少し、最終的には停止するまでに至ります。でも、「摩擦係数」とは何か? 分かりにくいですよね。

そこで、もう少し具体的に考えてみましょう。例えば、ボールが転がるのを抑制する力は、グリーンの芝によるものです。一般的には「グリーンの速さ」と言いますよね。この速さを数値化する方法をご存知ですか?「スティンプメーター」という測定器で測定することで速さを定義できます。この器具でグリーンの速さを測定できるそうで、販売もされています。

ただ、スティンプメーターって結構お高いんですよね。グリーン速度測定のデファクトスタンダードであるため、買ってみたいと思っても手がでない人も多いかもしれません。でも、ゴルフコースに行けば、スティンプメーター値を掲示してくれるところもあるんです。そういうところに当たったら、計算に生かしてみたくなりますよね!

ところで、スティンプメーターを使って測定されるのは、ボールが転がる距離で、それがグリーンの速さを表すんです。単位はフィートで、一般的なゴルフ場では8~9フィートくらいが多いそうです。スティンプメーター値を \(s\) として、計算してみましょう。必要なのは等加速度直線運動、3つの式です。

$$F=ma$$

$$x=\frac{1}{2}at^2+v_0t$$

$$v=at+v_0$$

摩擦力は \(\mu{}mg\)。ボールに掛かる重力加速度に摩擦係数を乗算したものです。転がる方向を + とすると、\(ma=F=-\mu{}mg\) となり、\(a=-\mu{}g\)。

ボールが止まると \(v=0\) となるので、3式から。

$$0=at+v_0=-\mu{}gt+v_0$$

$$t=\frac{v_0}{\mu{}g}$$

スティンプメーター \(s=9\) のとき、摩擦係数 \(\mu=0.1\) 。ボール初速 \(v_0=2m/s\) とすると、ボールが停止するまでの時間 \(t\) は、

$$t=\frac{2}{0.1*9.8}=1.96秒$$

となり、1.96秒後に停止します。2式より、

$$\frac{1}{2}(-\mu{}g)t^2+v_0t=-0.5*0.1*9.8*1.96^2+2*1.96=2.0m$$

でした。スティンプメーター値 \(s=9\) のグリーンにおいて、ボールの初速 2m/s で打ち出すと 2m 転がるよってことです。

最後に恒例の「ぱぱっと」では何を計算していないのか。以前にも書きましたが、風の影響や空気抵抗は無視しています。それから、ボールは完全な球体と考えていますので、ボールのブツブツを無視しています。あとは転がりにより消費する力については計算式には入ってませんが、摩擦係数やスティンプメーター値への変換の中に経験則的に含まれるかもしれません。証明はしてないので転がる距離が大きくずれるようなら条件を教えて頂けるとありがたいです。

以上で平面を転がるボールの運動計算は終了です。

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